最近、著作権に関するセミナーを受ける機会を得ました。
セミナーの主題がいきなり「著作権百余年のあゆみ」とかだったりして、なんかピントずれてるな・・・と思ったのですが、実は案外そうでもなかった。
著作権というものが法的にきちんと整備されはじめたのがすごく最近のことなので(いうまでもなく「インターネットが普及」して「デジタルコンテンツの複製」がすごく簡単に、無断にできるようになっちゃった頃から)、実はいろんな問題があって一口に解決できないんだよー、だから「 そ も そ も の は じ ま り 」をちゃんと理解してね?という講演者の苦労が偲ばれるようなお話でした。
たぶん、「この場合はどうなんだ」とかいう質問にイッパツで答えてくれると思っている素人さんたち相手に毎日毎日おんなじ話をし続けてるんだろうなと思います。
ぶっちゃけ言ってしまうと、著作権。
明らかに法に触れるよってケースならいいんですが、「裁判沙汰になるものは法律的には「微妙」なケースが多いんで、裁判によっては解釈が違ってきちゃうこともありますよ」ってことらしいです。
著作権は国ごとに違う
著作権は著作者の死後50年(映画は70年)というのが日本の場合ですが、外国だともっと長かったり短かったりと国ごとに違うようです。
それと、訴訟大国アメリカと日本では著作権に関する方式が違う。というのも今回はじめて知った事実でした。
著作権は「方式主義」と「無方式主義」に分かれるのですが、日本やフランス、ドイツといった国は「無方式主義」。アメリカは「方式主義」をとっています。
「無方式主義」は「著作権に届出は必要ない。作品を作った瞬間からその製作者に発生する」という考え方。
対して「方式主義」は「政府機関に届出を出さないと認められない」という考え方です。
従って方式主義アメリカで著作権に関する裁判をする場合は、届出無しでは勝てないケースもあるのです。(アメリカの場合、現実的にはかなり無方式主義に近い状態にまで移行しているらしいですが)
では日本の創作物がアメリカで複製されても何もいえないのか?
そんな場合に出てくるのが「ベルヌ条約」です。
これに加入すると「方式主義」の国であっても、「無方式主義」の国の著作権は守らないといけません。COPYRIGHTとかの表記が無くても、です。
しかしその場合「自分がこの作品の著作権を持ってますよ」という証明が必要なので、自衛と裁判での証拠になる意味で、表記しておいたほうがいいでしょう。(つまり義務ではないってことです)
ではベルヌ条約に加盟していない国に対してはどうするか。
この問題に対応するために生まれたのが、©マークです。これは「万国著作権条約」で決められたマークで、このマークと著作者・発行年を表示していれば、「無方式主義」の国でも「方式主義」の国の著作権を保護する義務を負います。ぶっちゃけ、この©マーク、1989年までベルヌに加入していなかったアメリカのために生まれたようなものです。
現在ではアメリカを含めほとんどの国がベルヌ条約に加盟していますので、©マーク表記の重要性はかなり薄れてきています。
ちなみに韓国も中国も、オリンピックの開催国になったときに「ベルヌ条約」に加入しています。
しかしながら、この世には「ベルヌ条約」にも「万国著作権条約」にも加入していないという恐るべき「著作権無視」の国(自国内は別として)が存在します。
(この2つの条約に加盟していなくても、その国と日本との間で独自に結んだ条約によって保護される場合もあるので一概にはくくれませんが)
だいたい内乱などで政情不安な国が多いのですが、代表格はエチオピアとイランだそうです。
著作権で保護されるもの
著作権で保護される「創作物」は、論文・小説・音楽・絵画・彫刻・映画・写真・コンピュータ・プログラム , etc.etc …と多岐に渡ります。
こんなものにも著作権が?と思ってしまうようなものも中には含まれています。
逆に著作権の発生しないものの代表格は「憲法」「判例」などですが、それらを引用した論文などには著作権が発生します。
第2条11項には、 「二次的著作物も著作権を持つ」とあります。
二次的著作物とは、「著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案することにより創作した著作物」です。
つまり厳密に言えば同人誌にも著作権はあるわけです。(海外の海賊版同人誌の問題に絡んできます)
しかしながら同人誌の場合は一次著作物にあたるものとの線引きでまた別の問題が発生します。
二次著作物を作る上で、「一次著作物の著作権者に了解を得ていない」という点でまず裁判ではOUTです。
ここでいう二次著作物は、だいたい、外国の小説や洋画、洋楽歌詞の翻訳版などを想定しています。
この場合、「二次著作物」としての著作権保持者には翻訳者も含まれてきます。古い外国の小説で原作者の著作権が切れていても、日本語訳した翻訳者の著作権が切れていない場合は勝手に複製したりできません。(青空文庫で外国作品を提供したい場合はその点も気をつける必要があります)
著作権を持つかどうかの判断基準のひとつとして、まず「創造性が認められるもの」であること。
単に人の作品を丸写ししたものは自分の創造物として認められません。
また、自分が考えたものだと主張してもその表現自体が「ありふれている」と判断されたケースは認められなかったりします。
逆に、情報自体に創造性がなくても、それを編集・体系化した「電話帳」や「辞書」などは「創造性あり」として著作権を持つと判断されています。
それと、「著作権は「表現」を保護するものであって、「アイデア」は保護しないという原則があります。
その著作物が「アイデア」なのか「表現」なのか。「ありふれている」かそうでないか。
この部分は判断の難しいケースが多いため、著作権法のどの条例を適用させるかの解釈もあり、それこそ裁判次第という感じだそうです。
どこまでが許されるのか
「著作物を自由に使える範囲」は著作権法の「第30条~49条」までに記載されているそうです。
30条が私たちがよく知っている「私的利用のための複製」についての条文です。
・・・・読んでみました。
条文には確かに、「個人的又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用する」場合は複製してよいと書いてあり、その後に「次に掲げる場合を除き」という条件があります。それによると「公衆の使用を目的として設置されている」複製機械を使ってはダメ、コピーガードのあるものを外しての複製もダメ、というような意味のことが書いてあります。
それにしても「家庭内その他これに準じる」というのはなかなか・・・適用範囲の多い言い回しですね。
家に近所の人を呼んでの鑑賞会なんかはお金を取らない限りいいけど、それを複製して配ったら×、とかそういったケースに適用されるらしいです。
30条~49条までを読んでみると「図書館等における複製」や「試験問題等の複製」「営利を目的としない上演」などやたら細かく書かれていますが、これらはほとんど、裁判で争いが起こるたびに付け足されていったものだそうです。
今後どんなケースにも当てはまらない裁判が起こった場合はまたひとつ条例に追加されていくことは疑いありません。
まずダメ!といわれるケースが多いのは「営利がからんでいる場合」。
直接的にお金を取る場合はもちろんのこと、営業目的で作ったスクラップブックなんてものにまで著作権問題が絡んでくる場合があります。
無料の演奏会だったとしても、出演者に出演料を払った場合は問題が発生します。
その出演者自体のオリジナル曲だけだったら、出演者自体が著作権者であり、許諾を得たことになりますからかまいませんが、第三者の曲を演奏する場合はその人にも許可を得なくてはならなくなります。(しかしこれも教育目的ならOKとかいろいろあります・・・)
著作権は人につく
自社で作った印刷物がデータごと納品されたとき、そのデータを勝手に流用するなんてことはよくあることです。
勘違いしがちですが、 印刷物を作るにあたって、その中に写真があれば、その写真の著作権は「写真を撮った人」にあります。
中に書かれた文章の著作権者は、「その文を書いた人」です。
いわゆる「原本」にあたるものを持っている人=著作権保持者ではない、ということを覚えておかなくてはなりません。
基本的に原本を買い取っても、著作権を買い取ったことにはなりません。
データを渡されたからといって本来の目的以外で使用するのは、本当はNGなのです。
・・・が、商売上しょうがないか・・と暗黙の了解でもって横行しているのは業界関係の皆様ならご承知の通り。(苦笑)
ただ著作権は譲渡可能なので、事前に契約書でもって譲渡に関しての細かい取り決めをしておく方が後々問題にならずにすみます。
著作権には、複製権、上演権、公衆送信権、展示権、貸与権、、、と様々な権利が含まれています。そのどの権利を譲渡してもらうかで勝手に使える範囲も決まってきます。(勝手に、のところを強調するのは、別に譲渡契約結ばなくても、使うごとにきちんと許可を得るようにしておけば、訴えられることはないからです。そこで金銭が発生するかは別として)
印刷物発注するのにいちいち契約書交わすような慣例もあまりないですが、キャラクター造形とかCMソングとか、商品ロゴ制作とか後々使いまわすようなものを作ってもらった時は気をつけておいたほうがいいと思います。
最近、ポスターを作った時に、webにも勝手に載せられてて、その写真撮ったカメラマンからクレームが来た、、という話を聞いたことがあります。
許可なくWebに載せるっていうのは著作権の中の「複製権」と「公衆送信権」の両方に違反することになります。
余禄ですが、著作権の譲渡に関する判例を読んでいたら「二重の譲渡はOK」と書かれてありました。つまり譲渡されたからといって、独占していることにはならないらしいです。後から譲渡された側が「文化庁に登録」(一応日本にも登録機関はあるのです)をしてしまったために、先に譲渡された側が訴訟に負けたという判例がありました。(有名な小室哲也氏の事件もこれにあたります)
引用について
「引用」だったらいくらしてもOKというのも、ある意味間違いです。
本人は引用の範囲だと主張しても、認められないケースがあります。
まずその引用に必然性が認められること。「引用元」を記入するのはもちろん、「明らかにこれは引用だな」とわかる利用の仕方であること。
アフィリエイトサイトにありがちですが、どこかの情報サイトから、文章をまるごとコピーして「引用元が書いてあるからOKでしょ?」というのは勘違いです。
「引用」しかしていない文章なんていうのはもう引用とは認められません。
「語尾だけ変えたから創作性が認められるでしょ?」なんていうのもNG。
「自分独自の文章より引用のほうが長い」場合も引用とは認められなかったケースがあるようです。
意外と身近な著作権問題
二次創作サイトにしろ、ブログにしろ、Webでの情報配信を始めた時点で「著作権問題」には巻き込まれる可能性があると考えたほうがよいでしょう。
このあいだも中国の会社が日本の創作サイトの作品を勝手にiPhoneアプリとして配信していたなんてケースがあったばかり。
イラストサイトを運営していた方が海外のサイトに勝手に転載されて閉鎖、なんてケースも昔からよく聞く話です。
私の場合も一度台湾のサイトに翻訳サイトを通してフレームリンクされていたことがありました。(その後、.haccessでフレームリンクを弾いていたらすぐ消えたので問題にはしませんでしたが)
自分が被害者になるケースだけでなく、善意でもってしたことが知らずに著作権違反になっていたというケースも聞いたことがあります。
深く調べれば調べるほどケースバイケースな著作権問題。
サイト運営をしている人は、まさか自分がと思わずに一度ぜひよく調べてみてはいかがでしょうか。
リンク:社団法人著作権情報センター
(ちなみにこちらではどうしても迷うようなケースは無料で相談に受け付けてもらえるそうです。)