遠く離れた街で一仕事終えるといつものように繁華街に繰り出す。
白のときも黒のときも変らない男の習性、罪悪感などカケラもない。
売り物として売られているものに金を出して何が悪い、というのが男の側の理屈だし、女の方も承知の上で相手をするのだから、と。
かくして自分は今現在、貴顕の紳士として、それなりの場所でそれなりに払った額に見合う女とベッドの上にいる。
いる、わけなのだが。
「どうしたのミスター?」
不信げな声が体の下から聞こえるのもむべなるかな。
軽い食事の後の甘い会話と手慣れた愛撫、場末の連れ込み宿とは明らかに異なる作法と手順を楽しんだ後に、ようやく組み敷かれた体の上で本来なすべきことをしようとしない男に女は怪訝そうな顔を向けている。
だが相手は体を強張らせたまま、身動きもしない。
ただ愕然とした表情を浮かべたまま。
「?」
ひょっとしてこの男、狂人じゃないかと女が考えはじめたころ、男はようやっと身を起こし、帰るわ、と訪れた時とは違う、やや捨て鉢な口調でつぶやき、出て行った。
払った金は当然ながら戻ってこない。
ことに及ぶ直前まで気づかなかった己の迂闊さを心底呪いながら男はいまや唯一の気晴らしとなった煙草をくゆらせ歩く。
「まさか勃たねえなんてなあ…」
そりゃあやりたい盛りの10代はとうに越えたわけだから、どんないい女を前にしても気が乗らないときは乗らないでお断りすることもあるが、いったん乗ると決めた相手に乗れない夜があるとは思いもしなかった。
これが女に惚れるということか、ともはや敵味方に別たれた女の顔を月に映し、ノアの男は悄然と溜息をついた。
新しいコーナーが出来たんですね。
なにはともあれ、楽しく拝見させていただきました。
ティキ・・・寄る年波には勝てないというやつですかねえ。とうとうあっちに衰えが。南欧らしく、もうそろ隠居の年なのか?
まあ、わけもわからずさかることがなくなってきたというあたり、ミランダさんには吉報かも知れないのですけれど。
とりあえず、プロのお姉さんに、狂人だと思われてよかったねと言っておきましょう。使い物にならなかったからだと悟られたら、失笑されたかも知れませんし。そうなったら、男性はあれでわりとデリケートだということですから・・・ますます使えなくなったりする可能性もなきにしもあらず(笑)。
あ、イベント予定情報もちらと拝見しました。ものすごいページ数の本を作られるのですね。なにかもう、脱帽です。どうぞお体お大事にしてくださいませ。
ではでは。
こんにちは、たぬき様
いつも感想ありがとうございます。
新コーナー、つまりは小ネタ集なんですが、はたしてどこまで増えることやらです。
20代も後半(順当に年取ってるならそろそろ30代)の彼ですからある程度の節制は……きくようになっていると思いたいところです。(巷では快楽のノアという代名詞がイメージ先行しているようですが)
ま、早いところミランダさんのところに押しかけて欲求不満を解消するといいです。でないとまた同じ間違いをやらかして今度こそお姉さんたちに笑いものでしょうから。
イベントの本については……オンラインの1作はオフラインで組んでみると意外とページ数かせげますので実際の分量はさほどでもありません。サイト再録のは原稿はできあがってるに等しいですし。現在3冊目のみ、産みの苦しみに悩んでおります。
イベントだけを励みにがんばります!!