たとえば鏡越しに盗み見るような。
交差しない視線の先にいる人。
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確かによく目立つ男だった。 |
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どこがいいのかと彼は思う。 |
よそ見をしていてささいな擦り傷を負った。
ゴール前は最前線の激戦区だからこんな傷は珍しくない。
まして彼にはそんな無茶を楽しむ傾向が強いので、擦り傷切り傷の類はしょっちゅうだ。
救急箱をかかえた小島有希が呆れながらも手当にかかる。
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「サンキューな、小島ちゃんvv」 |
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「ぎゃー!!! 離しなさいよ、このバカ!!」 |
ふざけて抱きつくと、周囲にわずかな感情の波が逆立つのがわかる。
軽い嫉妬混じりの微妙な困惑顔、誤解を怖れる焦り、苦笑、とまどい、悲鳴混じりの落胆、、、。
わざと波風を立ててみると相手の本音がよくわかる。
それが彼には面白い。
たちの悪い遊びだと自分でもわかっていた。
わけても刺すような視線で自分を見るこの感情の鋭さはどうだ。
ああ面白い。
楽しんでいるのだと自分に言い聞かせる。
ナイフのように切れ味の鋭い彼女の視線。
強固な盾のように結ばれ決して開かないその口元。
どんなに鋭いナイフでも、突き立てられなければ意味はない。ぎりぎりまで踏み出せない彼女の弱さ。
どんなに固い盾でも、一生閉じこもっていられるわけもない。ぎりぎりまで踏みとどまる彼女の強さ。
ああ面白い。
見つめられて喜んでいるなんて、彼はまだ認めていない。
それでも視線の切っ先を、彼は今日も彼女と奪い合う。
******Post Script******
念のため申しあげておきますが、コレはシゲ麻衣です。麻衣子お嬢様の寵愛を奪い合うシゲと有希の図。
もっとも有希はそんなもんいらんと思ってることでしょうが。
まさか・・・シゲ有希だと思われた方、いらっしゃいます? なんか誤解されそうな文章だもんなぁ・・・。


